2019.6.1
食品ロス削減推進法案可決について
5月24日、食品ロス削減推進法案が成立しました。この法案にはフードバンク活動への支援が明記されています。当連盟の認証団体として活動しているフードバンク団体は、活動歴が長く、食品の取扱量も比較的に多い団体であるという特徴があります。このたび成立した食品ロス削減法案について、認証団体にアンケートをとったところ、様々な期待と不安の声が寄せられました。
多くの団体が今回の法案成立については歓迎しておりますが、まだ具体的な内容や方向性などが決まっていない事が多いため、過度な期待は避け、周りの環境に振り回されないよう今後も一歩一歩着実に活動を継続していくとする意見が多数を占めました。
法案が成立しても、私たちフードバンク活動団体の存在意義、『何を目的に、誰に、何をする団体なのか』は変わりません。今後、フードバンク活動を行う団体の意見が、いかに法案に盛り込まれるかが重要であると考えています。
—- 以下、食品ロス削減法案可決に対して寄せられた意見—-
期待
- ・法案の影響で企業や行政による支援や予算化が増える事が期待される
- ・活動資金となる寄付金は2〜3年ほど先に影響が出てくるのではないか
- ・寄贈を受けた食品の生活困窮者への提供に対して行政から予算がつくことを期待する
- ・食品を多く取り扱える団体には、企業からの食品寄贈案件が大きく増加する事が予想される
- ・フードバンクという言葉が日本の法律に載ったことは、大きな進歩である
- ・食品事故発生時の責任分担がきちんと整理される事になれば良い
不安
- ・寄付金や食品寄贈を求め各々のフードバンク団体が他団体との差別化を図り競合せざるを得ない
- ・行政との連携は経済的メリットの代わりに、食品の安定供給を求められたり、活動内容の制限がかかる事が予想される
- ・活動実績の少ないフードバンク団体が企業や行政からの大きな依頼に対して無理をして受託し、事故を起こしてしまうのではないか
- ・寄贈食品が増えることで、期限切れなどの食品が寄贈され廃棄せざるを得ないような案件が増え、見えにくいコストが増大するのではないか
- ・食中毒発生時の責任所在が明確になる前に、寄贈が大幅に増える事への不安
- ・良くも悪くも活動が注目を集め、周りの環境に私たち自身が翻弄されてしまうのではないか
- ・今後、様々なスタイルでの、余剰食品ビジネスが多発する事が思われる。食品企業がこれらをどう判断して、転売承知の他団体への提供ではなく、フードバンクに食品を提供しようとするか否かはわからない
- ・今後、本来の企業理念(社会貢献)として捉えられるのか。とにかく「廃棄が必要だから」「法律できまったから」などの声が多くなり理念が薄れていくのではないか。
- ・フードバンクの運営は、食品とお金のバランスが取れないと厳しいが、食品と運営資金のバランスが大きく崩れる可能性がある。(食品寄贈を断りにくくなり食品だけ集中して集まるかもしれない)
- ・注目度が高まり過ぎて、不祥事等が発生したらメディアによるフードバンクバッシングが起きる可能性がある
- ・実質これから基本方針が決まり実行されるまではしばらくかかりそう。その間に企業からフードバンクへ積極的な食品提供が始まるとなると、現状の倉庫や車両の範疇をこえてしまうのではないか、せっかく寄付する気持ちになった企業の気持ちを削いでしまうのではないか。現状をきちんと考えながら寄付受け取りの受け取りは適正な分配量を考えていかないと事故や寄付後にロスを生んでしまうなど問題が増えそう